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中国茶を学ぶ上での「質問」の効用

何かを学ぶ時に意外と見落とされがちなことが、「質問する」ということの効用です。

「質問をする」というのは、実は自身の学びを深めることにも繋がりますし、自分自身が勘違いしていることを気づかせてくれるものでもあります。
今回は実例を挙げながら、「質問」の効用について考えてみたいと思います。

質問は”問題意識”を持っていないと出て来ない

まず初めに、質問というのは「何らかの問題意識が無いと出てこない」ものだということです。
質問が出てくる時点で、”積極的に”学ぶ姿勢になっているとも言えます。

どういうことかというと、

  • 日頃から素朴に疑問と感じていることがある
  • 話を聞いてみて、自分が考えるものや以前聞いていたものとのギャップを感じる
  • 自分で考えている枠組みと異なるので、確認したい

など、質問が起こる背景には、往々にして自分の頭の中で論理を整理しようとする働きがあります。
得た情報を、これまでに得た知識や自分自身の経験などと照らし合わせて、自らの頭の中で再構築してこそ、初めて情報は知識となり得ます。
質問が出るということは、その方向に向かって思考していることが”明確に”分かるシグナルです。

※とはいえ、一気に多くの情報が与えられた場合などは、情報を咀嚼しきれずに質問が出ないこともあります。
また、集合形式の授業などでは、他者の反応を気にしてしまい、質問を発することができないということもあるでしょう(日本人には多い傾向です)。

 

質問をして分かることは”答え”だけではない

多くの方が誤解をしていることも多いのですが、「質問」をすると分かるのは、その問いに対する「答え」だけではありません。

これは答える側に回ると分かるのですが、「質問」が出てくる背景には、必ずそれなりの状況があります。
その状況を詳しく聞いていくと、その方の持っている本来の課題点があぶり出されることがあります。

たとえば、「高山烏龍茶を淹れてみたが、美味しく入らない」という質問が来たとします。
この質問に表面的に答えるならば、「淹れ方でしょうね」「水質の違いですかね」と回答するだけで終わります。

しかし、丁寧に回答が出来る状況であれば、もっと細やかに情報を収集し、それから回答することが出来ます。
一例を挙げるならば、

「茶葉はどこのお店の、何という茶葉ですか?」
「どのような茶器を使っていますか?」
「茶器の素材は磁器?炻器?ガラス?」
「茶器の容量と茶葉はどのくらい入れましたか?」
「1煎目はどのように淹れましたか?茶器の予熱はしましたか?お湯の温度は?時間は?」

ということですし、対面だったりビデオミーティングだったりすれば、実際に淹れる動作を見せてもらうこともあります。

このように情報を収集してみると、素朴な「美味しく入らない」という質問だったとしても、もっと根本的な問題に気づくことが出来ます。

たとえば、「1煎目は美味しいが2煎目は渋みが出てあまり美味しくない」という方ならば、1煎目を完全に出しきっておらず、湯が残っていて、濃く抽出されたものが2煎目に混入しているのが原因だと分かりました。
これは必ず「お湯をしっかり切る」という動作を身につけていただくことで、ほとんどのお茶で問題が解消されました。

また、「岩茶や単叢は美味しく淹れられるが、台湾烏龍茶は苦手」という方のお話を詳しく聞いてみると、1煎目の抽出時間が短すぎて、茶葉が開かないうちに抽出していることが原因だと分かりました。
岩茶や単叢などで、「短時間でサッと出す」というのが烏龍茶の淹れ方の秘訣だと感じていたため、巻のしっかりした高山烏龍茶などでも同じ淹れ方をしていたとのことでした。
これでは美味しくは入らないので、きつく巻かれた茶葉は解けるまでの時間を考慮に入れて、抽出するようにしたところ、問題は解消しました。

このように、質問を投げかけて、それを回答するために状況を深掘りして伺っていくと、問題に潜んでいる、より大きな勘違いやちょっとした動作の違いなどに気づくことが出来ます。
質問というのは、”一問一答”のように単純な答えが返ってくるだけではなく、より深い問題に気づくためのきっかけになり得るのです。

 

質問する相手が重要

質問の重要性はご理解いただけたと思いますが、「誰に問いかけるか?」というのも、非常に大きな問題です。

個人的にも学びの過程では、多くの中国茶専門店の店主さんやスタッフの方、茶農家さん、講師の先生方、あるいは同じ中国茶ファンの方などにお世話になってきました。
正直、「どこのプログラムで学んだか?」「何を学んだか?」よりも、多くの人に「質問」を通じて教えてもらったことの方が大きいようにも感じています。

そのような経験から言えることは、正確な答えが返ってくる場合もあれば、そうで無いこともあるということです。

確実性でいえば、お店の方や茶農家さん、講師の方など、いわゆるプロの方への質問の方が有益な回答を得られます。
しかし、お店の方などは販売が主ですから回答できる時間が限られていたり、自身が置かれている状況をきちんと説明できない場合などには、正確な回答を返すのは難しくなります。
また、茶農家さんなどの中には、あくまで経験則に基づく回答だったりしますし、お店の方に聞いても、自店の商品の良さのPRになってしまうなど、バイアスが掛かることも少なくありません。
このあたり、情報の取捨選択をしなければいけないのですが、こちら側に知識の蓄積が無いうちは、振り回されてしまったこともあります。

手軽さでいえば、同じ中国茶ファンの方に聞くのが手軽です。
同じ悩みを抱えたこともある方もいて、親身に答えてくれることもあるでしょう。
しかし、やはり部分的な最適解になっていることも多く、色々と学んでいくと矛盾を感じることもあったりします。
また、どんな趣味の世界でもそうですが、「教え魔」のような方はいて、自分の考えを押しつけてくるようなケースもあります。

一番良いのは、自身の状況をある程度、共有している「かかりつけ医」のような専門家の方に聞くことだと思います。
大体、置かれている状況の説明に一番時間がかかるのですが、そこを省くことができるので、有益な回答になることが多いです。

 

”質問”を上手に使うことで、知識は定着する

いずれにしても、情報をインプットするだけでは、間違えて解釈して理解してしまうということは、人間には「思い込み」というものがある以上、どうしても避けられないことです。
また、本やWebサイトなどに情報として載っていないこと(細かな動作など)は、なかなか勉強しにくいということもあると思います。
そうした問題点を「質問」は解消してくれるというわけです。

身近にそのような「質問」を投げかける場所があると良いのですが、もし見あたらない場合は、ぜひTeamedia Online Schoolの様々な講座や質問システムをご活用ください。

「中国茶基礎講座オンライン」には、2回の「個別相談・質問セッション」が付属しており、個別に質問などを承っています。
また、「中国茶応用レッスン」では、個別レッスンの時間を毎回設けていますので、気軽に質問をしながら、レッスンを受講することも可能です。
講座や中国茶に関する大まかな質問であれば、「Teamedia Salon」の方でコメント形式で回答をしています。

効果的な「質問」によって、知識は確実に定着すると思いますので、ぜひ意識して学びを深めてみてください。

 

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