中国茶の魅力とは?
中国茶の魅力とは?
このブログでは、「中国茶の学び方」をテーマにお話を進めていきます。
その前に根本的な問いになるかもしれませんが「中国茶の魅力」というのは、一体どこにあるのでしょうか?
これはおそらく根源的な問いでもあり、人によって、それぞれが感じる「中国茶の魅力」というのは違うものだろうと思います。
しかし、そこを敢えて冷静かつ客観的なものから順に挙げてみたいと思います。
種類が豊富である
まずはじめに挙げられるのは、中国茶の種類は非常に多く、多彩な味・香り・見た目のお茶があるということです。
この多様性は、他の国のお茶にはない特色です。
種類の分け方をどう定義するかで、その数は変わりますが、中国で地理的表示(GI・原産地保護の対象となるもの)製品として登録されているお茶だけでも400種以上。
名優茶(めいゆうちゃ)と呼ばれる特色のある高級茶だけでも、1000種類以上あるとされています。
この種類の違いは、製法や品種、産地などのいくつかの要素で生まれています。
その幅が広いため、種類の豊富さが個性の豊富さに繋がっています。
製法が豊富である
茶の原料となる”チャノキ(Camellia Sinensis)”の葉は、青々とした緑色の葉です。
摘み取られたばかりの葉(専門用語では「生葉(なまは)」。中国語では「鮮葉(鲜叶)」)も同様に緑色の葉です。
緑茶も紅茶も烏龍茶も、同じ緑色の葉から生まれます。
この葉を”製茶”することにより、生葉に含まれる成分に化学的な変化が起こり、さまざまな味や香りを産み出します。
同じブドウから、赤ワインと白ワインが生まれるのと同じように、製法によって、生産される製品の香りや味わいが大きく異なるのです。
これらのお茶の製法の多くは、茶産の歴史の長い中国で生まれ、発展してきたものです。
中国茶の製法の多様性は、そうした歴史に裏打ちされたものです。
品種が豊富である
米にコシヒカリやあきたこまち、ゆめぴりかのような品種が、りんごにふじや王林、紅玉などの品種があるように、茶にも品種があります。
りんごでも生食に向いている品種と、加熱した方が良さが出る品種に分かれるように、お茶も品種によって特性が異なります。
用いる品種はお茶の香りや味わいなどに大きな影響を与えます。
中国は国土が広大であり、それぞれの土地に合った茶品種が栽培されてきました。
各地の名茶はそうした地元の品種を用いることで、その名茶独特の味わいが生まれます。
品種によっては、大木のような樹高になるものや日本でも見かけるような高さのものになったり、葉の大きさが異なったりします。
それぞれの品種によって、味わいに影響を与えるうまみ成分の量や香りの物質の量や組成が違うため、独特の味わいを生むのです。
こうした品種の多彩さは、中国茶の味わいの多彩さに繋がっています。
食文化と歴史に裏打ちされた茶がある
中国は広大な国土の中に、様々な民族の方々が暮らしており、採れる食材の種類も異なるため、さまざま料理があります。
お茶も、各地の食文化や味の嗜好性に基づいて、様々な味わいや香りのものが求められます。
また、多彩な食文化と紐付いたお茶もあれば、歴史的に様々なものがたりを背負っているお茶もあります。
もっとも、現地の中国人たちにとっては、お茶とはやはり第一義として、「香りが良く、味の良い、美味しい飲み物」という意識が強いようです。
近年は、お茶に傾倒する方も多く、他の国では製造コストを考えたら、とても商品化されないようなお茶(たとえば、小さな新芽のみを摘んで作るお茶など)も商品化され、人気を博していたりします。
中国の料理がそうであるように、手間暇を掛けてでも純粋な美味しさを追求する傾向は、強いかもしれません。
形式張らずに、自由に飲める
中国では、基本的にはお茶の淹れ方については、難しい作法などは要求されません。
たとえばグラスに茶葉を直接入れ、お湯を注ぐだけで飲んでいます。
急須のような茶器すら、必要としない飲み方もあるのです。
もちろん、最近になって伝統的な淹れ方を再構築した「茶藝(茶芸)」と呼ばれる淹れ方もあります。
しかし、基本的には美味しく淹れられれば、あまり道具や作法などにはこだわらない傾向が強いと思います。
嗜好品としての茶の歴史が長い
中国の歴代の王朝において、茶は皇帝への献上品とされてきたものです。
味わいや製法に徹底的にこだわってくるという文化が昔からあったことから、茶を純粋な嗜好品として追い求める傾向があります。
新中国となってから、しばらくは茶と人々との間に少し距離があったようです。
しかしながら、最近は「茶文化」という形で、中国の伝統文化として茶を見直す動きが広まっています。
ビジネス上のお付き合いに茶が登場することも多く、茶を解することは、中国文化の一部を解することにも繋がります。
急成長している中国の茶
歴史や伝統という話をここまで多くしてきましたが、中国では現在、茶業は急成長産業の一つとして位置づけられています。
特に2001年以降に入ってからの伸びが顕著です。
2001年には、約70万トンだった中国の荒茶(原料茶)生産量は、2010年には約147万トンと倍に。
2019年には、約279万トンと2001年の約4倍にまで急激に増加しています。
日本の荒茶生産量は約8万トン前後、台湾の荒茶生産量は約1万4千トン程度で安定しているのとは、対照的です。
市場が急拡大していることもあり、新しい名茶やヒット商品が次々と生まれているのが、現代の中国茶の世界です。
歴史とトレンドが交錯し、古くも新しいのが中国茶なのです。
このブログではこうした特性を持つ中国茶をどう学べば良いのかについて、考えていきたいと思います。
中国茶に関心を持った方の学習の参考になれば幸いです。
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